気まま

期間限定予定な鮒ブログ 腐要素有りなので注意
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
【短文】雪の降る心(真矢誕記念)
真矢の誕生日(11月11日)に日記は上げていたのですが、記念文は企画サイト様に参加させていただいてたのでアップが遅くなってしまいましたすみません…!
自分が忘れない内に、と、アップする勇気がなくなる前に、折角お祝い書いたので、こっそりアップさせていただきます(笑)真矢、お誕生日おめでとう…!
ちなみに文章の解説は11月11日の日記の方でしてるのですががが。
一応その部分だけあとがきとして転載しています。では楽しんで何か感じていただけたら幸いです。



サクサクと、まだ誰も汚していない、粉のような雪の上を歩く。
竜宮島に降り積もった雪。明日の朝、少しでも日が当たれば溶け出し、やがて、粉のような雪は水分となるだろう。
11月。深夜、降るには早すぎる雪の上を、独り歩く。

「・・・何やってるんだろう、私」

寝静まる我が家をこっそり抜け出し、人の気配の感じられない道をつらつらと歩く。
まるで、自分は実は死んでしまっていて、それでもこの島に居たくて独り歩いてるんじゃないかと思う。
(なんてね・・・。私は生きてる。)
前は、この日が好きだった。大好きな家族に、友人に祝ってもらえる特別な日。
生きてる事が当たり前で、笑う事も当たり前で、一緒に居る事も当たり前で。
降り続ける雪が、羽織ったコートの上に滲む。傘も差していないので、髪にも雪がついている。
パジャマの上にコートを羽織っただけなので、凍えるように寒い。感覚を麻痺させていく。
感覚がある、という事が今ここに居る証。当たり前を全て失って、生きている事が、ここに居る事が、まるで宝物のような。

「わかんない、追いつけないよ・・・」

全ての出来事に心が追いつかないまま、独りで、心細くなる。
ファフナーに乗る事が出来て、自分だけが取り残される感覚は昇華された。けれども。
「一連の出来事」は、あまりに突然で、唐突で、無慈悲で。

「翔子・・・私、今でも、当たり前だと思ってるんだ」

雪を降らせる夜空に向かって、呟く。

「こんなに居なくなってるのに、まだ、「当たり前」だって、思ってる」

声は雪に吸い込まれて響かない、届かない。
目線を夜空から、深々と降り続ける雪を追いかけ、地面に向く。

「おかしいよね・・・ね」誰かに同意を求めるように、けれど声は届かない。

「・・・寒い・・・な」世界も、身体も、心も、気持ちも。

随分と家から離れてしまっていた。戻ろうとゆっくりと足を家路へと向かわせる。

「遠見・・・?」

この時間に、誰かが居るとは、呼び止められるとは思わなかった。
背後から声を掛けられ、慌てて振り返る。

「か、一騎君」
「良かった、やっぱり遠見だった」

コートをきちんと着て、マフラーを首に巻いている。防寒をしっかりし、傘を差した一騎が目の前に居た。

「ど、どうして」
こんな時間に、この場所に、何で?という言葉がいっぺんに頭に浮かんでどれを言えばいいのか分からなかった。

「あ、うん。雪、降ってるだろ。珍しくってつい」
「そっか・・・。私も歩いてたらココまで来ちゃってた」

と同意する。公園前。子供の頃、良く皆で遊んだ場所。まだ、何も考えずに、ただ子供達だけで遊んでいた。

「懐かしいね」と言葉に出ていた。
「え?」
「子供の頃」
「あ、うん」
「・・・私、ずっと、当たり前の事だって思ってたんだ。子供の頃の楽しかった記憶も、生きてる事も」
「・・・・・・」
「だから、今感じる事が、全部珍しくて、ちょっと、悲しいんだ」言葉にする事で気付く。悲しいという事に。

「ごめんね、急にこんな話して。聴いてくれてありがとう」

そう言って、家路への道を戻ろうと背を向けようとした。

「遠見」呼び止められる。
「その・・・、無理に、当たり前を、壊さなくても、いいと思う」
「え・・・」
「だって、ここに遠見が居る事は、当たり前の事だろ」

言葉は雪に吸い込まれずに私の心に届いた。まるで、迷子だった私の手を掴んで、元の場所へ還してくれるような、言葉。

「・・・そうだね。そうだったね。ありがとう・・・一騎くん」

どんなに当たり前だった事実がなくなっても、生命が失われても、「ここに居る事」は奇跡でもなく、当たり前でいいのだ。

「私、ここに居られて、良かった」

大事に、呟く。この世界で生きているという事実は、奇跡だ。

(それでも、私が、ここに居る事は、)
「あと・・・その、遠見、誕生日、おめでとう」
「え・・・」
「遠見、今日、誕生日・・・だよな」
「あ、うん・・・」

以前は当たり前に祝われていた今日。今日という日に生きていられる事が切実になった今。
まさか、こんなに唐突に、祝福してもらえるなんて。

「あ・・・ごめん。何もなくて」
「ううん・・・ありがとう、一騎くん」
(言葉だけで、心だけで、私は、幸せなんだよ)

いつの間にか、雪は止んでいた。そして、もうすぐ、夜明けが。


end



あとがき
真矢を中心に置くと、思い出や日常を大事にする反面、「そのまま」ではいられない周りとの葛藤を描く、のがとても好きだったりします。なので今回もその辺りを大事に描けてたらなあ~なんて。そして「誕生日」という「日時」を大事にしつつ。楽しかったです♪遅くなってしまったけど、おめでとう!
スポンサーサイト
Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。