気まま

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【短文】願いを込めて
短文アップです~っ。これは2007年5月に書いたものです。
なんというか2007年は再熱してたんだろうなあ~と(笑)
総士と一騎と乙姫と史彦が書きたかったのが分かるハッキリした文です。



アルヴィス内の自室で休息をとっていた総士に来客があった。

「総士、ご飯食べに行かない?」
「乙姫……。食べに行かないってどこにだ」
「一騎の家」

『暖かい温もりを再確認するために、幸せを求める自分の気持ちを取り戻すために』

相変わらず玄関先で土を弄っていた史彦が、居間でくつろいでいた一騎を呼んだ。

「なに?」

史彦の元に急ぐ。

「一騎、総士くんと」

言いかけた史彦の言葉を遮って高音の声が返ってきた。

「こんばんは、一騎」

総士と乙姫が史彦の背後に立っていた。
乙姫はいつも見るように、にこやかで、総士は苦い顔をして何か言うのを躊躇っていた。

「二人して……どうしたんだ?」

一騎が問うと、総士は真面目な顔で口を開いた。
のに何も言わず、横目で乙姫を見て、またこちらを向いた。
そして乙姫が変わらずニコニコとこちらを見ている。

「すまない……ゆ…夕食を」
「夕食?晩飯がどうかしたのか?」
「一騎の家でご馳走になろうと思ったの」

乙姫の言葉で、ようやく何しに家に来たのか分かった。
とりあえず一騎は二人を居間に上げた。後ろから史彦も付いてくる。
「ごめんな、今から作るから」そういって冷蔵庫を開けた一騎から。

「あ」
「どうかしたのか」
「父さん、今日の夕食当番父さんだよな」
「ああ……、あ…」

合点がいった顔をして口に手を当てた。一騎が背中で怒っているのを誰もが肌で感じていた。

「ごめんな二人とも、今から材料買ってくるから。何がいい?」

怒りを史彦に向けながら二人には申し訳なさそうに話しかけた。

「乙姫、お前は……」
「肉じゃが」
「……」

まさかそのようなシンプルな答えが返ってくるとは思わず、間が出来てしまった。その間も気にせずに乙姫は続けた。

「と、美味しい白米」
「……だけでいいのか?」
「うんっ」

笑顔の返答。一騎は了承して一言史彦に文句を行ってから。

「じゃあ店が閉まる前に買ってくるから、二人はここで待ってて」
「一騎」
「ん?」
「総士も連れて行ってあげて」

乙姫はにっこり笑って総士を見た。一騎もつられて総士をみる。

「え?でも……」
「僕は別に構わない。急に押しかけたのは僕の方だからな。荷物持ちくらいはするさ」
「……じゃあ……お願いしようかな」
「行ってらっしゃーい」
「行ってきます」
「あぁ」

二人は夕焼け空の外へと出ていった。
残された乙姫と史彦。

「……」
「……」
「史彦」
「なんだ」
「ありがとう」
「……息子の為だ」
「ふふっ、皆素直じゃないなあ」



二人で歩いているはずなのに会話もなく、お互い無言だった。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……そういえば、久し振りだな」
「何がだ」
「総士がうちに来たの」
「僕の意志じゃない、乙姫が誘ったんだ」
「あぁ、でも……」
「どうした」

嬉しかった、という言葉が正しいのか解らずに、結局その言葉を飲み込んだ。

「何でもない」
「……そうか」

お互い無言のまま歩き続けた。八百屋のおじさんに「おお!ぎりぎりだなあ」と言われながら材料を買っていく。

「総士くんは今日は一騎の家で晩飯かい?」
「はい」
「それじゃあ、これはオマケだ」

そういってジャガイモを一つオマケしてくれた。

「肉はいいのか」
「あぁ、家にあったから。一昨日余ったんだ」

そうしてまた無言で帰り道を歩く。

夕日が落ちていき、夜の気配が島を包んだ。
今度は総士が話し始めた。思い出すように。

「昔……」
「ん?」
「こんな夜になるまで遊んだな」
「あぁ、いつの間にか暗くなってて」
「二人で順番に大人に怒られたな」

思い出して懐かしくて、少し笑いながら。

「そうだったそうだった。総士がまだまだ遊べるとか言ったからさ」

総士はその言葉に反論があるらしく、少し眉をしかめて返した。

「何を言う!一騎、お前が夜になると幻のクワガタが見れるといったんだろう」
「違うよ、総士がまだまだ遊びたりなくて」
「いいや僕がそんな事言うはずない。一騎が」
「総士だよ」
「お前だ」
「総士」
「一騎」
「総士!」
「お前だ!」

足も止まって言い争いをしていた。過去の、どちらでもいいようなことを。それでも、こうやって言い合う事が懐かしくて、二人とも止めなかった。

「こうなったら」

一騎が打ち切って新たな提案を出した。

「何だ」
「肉じゃがで勝負だ」
「美味しかった方が正しいんだな」
「いい提案だろ」
「不毛な言い争いよりはな」
「じゃあ行くか」
「ああ」

すっかり日も暮れた中、言い争いをしていたことが可笑しくて二人は笑いながら勢いづいて帰っていった。

こんな風に話す時間が幸せだと感じたのは、久し振りだった。
この時間がなくならないように。どうか。

end




あとがき
結構書きたいことがはっきりしている文でした。
楽しんでいただけたら幸いです。私は史彦と乙姫が書けて満足です(笑)
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