気まま

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【短文】動き出す、選択
この一つ前の記事の続編妄想の結果、短文をずばーっと書いてました。
動き出した一騎の時間、総士との成長。
なんかその辺の妄想なので、映画直後くらいな気持ちです。
自己満足全開ですが何か楽しんでいただける要素があれば幸いです。
という訳で総一です。



喫茶楽園からの帰り道。
遠見に掛けられた何気ない言葉。

「そうかな……?」

「うん、並んでみて気付いたけど。毎日会ってるからあんまり実感ないけどね」と言って笑った。
ここ数年、自分の体が成長したという感じはしなかった。背も、体つきも。

(でもそれは、もう成長しなくなったからだと思ってたから)

特に気にしてはいなかった事。

遠見と別れ、家へ帰る。
気にしていなかったから、気付かなかったこと。

--------

家に着いてから、何気なく、集合写真を見る。
アルヴィスで、遠見が撮ろうといって撮った集合写真、海で撮った写真。
居なくなった者達の笑顔は記憶と変わらず。
今、ここに居る者達の笑顔は、どこか幼かったり、無邪気だった。

「あれ……?」
既に≪皆≫に訪れていた変化。それに気付く。
剣司も、咲良も。カノンも後輩達も。撮っている側の遠見も。思い返してみればその変化は一目瞭然で。

自分自身を洗面台の鏡に映す。少し伸びた髪、背。
でも、それだけだった。

(これから、なのかな)

変化する。心も、身体も。
気付いた途端、不安が押し寄せる。再び写真を見つめる。

(総士も……変わるんだろうか)

そう思ったら、家を再び飛び出していた。
夕暮れの島、伸びる影、切ない色、終わりの訪れ。
全ての事象が不安を煽る。
チラリと、公園を見る。
一つ伸びる、見覚えのある、今探していた人影。
慌てて踵を返して公園に駆け込む。

「総士……!」
「か、一騎?」

偶然にも、総士が居た。偶然でも何でもいい。
浅く吸っていた息が苦しい。
何があったのかと、総士は目を見開いていた。

「大丈夫だから」という事も言葉に出来ず、片膝に手を起きながら、空いた手を総士にかざす。
空気を深く吸い、ゆっくり吐く。総士は黙って落ち着くのを待ってくれている。

呼吸を整える為に屈んでいたら、総士のすらりと伸びた足が目に入った。
アルヴィスの制服姿なので、先程の写真と変わらない、姿。
毎日会っている筈なのに、顔を上げるのが怖くなっていた。

「…………」

もう呼吸は整っている。けれども、顔を上げる事が出来なかった。

「どうした」

察して掛けられる声は、変わらない、総士の声で。

総士は変わるのだろうか。成長するのだろうか。
取り残されてしまうのだろうか。

(あの写真みたいに……)

波のように不安は不安を呼び、飲み込む。夕暮れは終わりを告げ、月明かりが照らす。

「一騎……?」

肩に手を置かれる。
顔を覗き込まれる。

「そ、総士……!」

自分から見なければと思い、勢い良く顔を上げる。
写真の総士が幻のように、今目の前に立っている総士に吸い込まれる。

髪は少し伸び、目線は少し高く、顔つきが精悍で、綺麗で、でも変わらない真っ直ぐな瞳と、左目の、傷。

「あ……、その……」

「なんだ?」

「い、いや、な……んか」

急に安心してしまい、慌てていたのが恥ずかしくなってくる。

「…………?」

「何か総士に会いたくって」

しどろもどろな、適当な返事。全く答えになっていない。
総士の顔が少し不機嫌になり、口を開いたが、その言葉はため息に変わる。
そして、ゆっくりと頬に手が伸ばされる。

「総士……?」

「一騎、お前は……っ、」

何か言いたそうだ。しかし、またも言葉は出ず、触れられた頬の手があたたかい。
総士がこちらへ伸ばす手の様に、総士の伸びた髪に自身の手を伸ばし、髪に触れる。
さらりとしたきれいな髪。写真よりも伸びている。

「……っ!?」

自身の頬に伸ばされていた総士の手が、急に頭に周り、引き寄せられる。

「総士……!……んっふ……ん」

唇をぶつける様に、力強いキス。
驚いたけれど、求められれば、求め返したくなる。
整った呼吸がまた、荒くなる。
角度を変えて、何度も、何度も。
距離をなくすように。口から溶けていくように。唾液が交わる。

「……っは……」

総士の吐息が顔に当たる。

「……っ、はあ……、っ……総士……」

唇を離すのが惜しくて、総士の唇を舐める。
その行為に驚いた総士の顔が当然だけど至近距離で。

「……っははっ」

思わずもれてしまう声。

「な、何がおかしいんだ……!」

「いや、うん。……俺、総士が、好きだよ」

素直に、安心して言える、言葉。

「……っ、……そうか」

「うん」

総士にゆっくり引き寄せられ抱きしめられる。
少しずつ変わる総士の身体つきを身近に、感じる。
不意に、総士が発した言葉。

「一騎……、背、少し伸びたか?」

その言葉が、嬉しい。

「お前を待ってたんだよ」

冗談のつもりで。
けれど、けれど、本当の気持ち。

(お前と、一緒に)


end
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